fbpx

ウマのように見る

25 May 2020 – News

視覚は危険を回避したり、方向を見定めたりするのに必須の機能である。その特徴は動物種により異なっており、スポーツやトレーニング、飼育の環境を整える際に配慮が必要である。特に、ジャンプを伴うウマのスポーツ競技では、ウマ(と騎乗者)の安全を担保するために重要である。

現在、障害物の外観はヒトの知覚に合わせて設計されている。これを踏まえて、本研究は、天候や時刻などの要因を考慮しながら、現在のフェンスとハードルの予測される視認性を比較し、環境中の色に対するウマの反応を解析することを目的に実施された。研究では、ジャンプに関係する11個のパラメータが測定された。

その結果、色の種類によってジャンプの角度と距離に変化が見られ、色の種類がフェンスの視認性に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。興味深いことに、現在使用されている色(主にオレンジ)はその他の色(明るい青、蛍光の黄色、白など)に比べて視認性が低かった。また、明るい青ではオレンジよりもジャンプの踏み切り角度が大きかった。

フェンスの材質も考慮すべきパラメータの1つであった。実際、光沢のある材質とない材質を比較してみると、光沢のない材質の方がコントラストが良いようであった。

また、照明の条件も色のコントラストや、フェンスとフェンス手前の地面や背景とのコントラストに大きな影響を及ぼしていた。ほとんどの条件において、影があるとコントラストが有意に低下した。

これらの結果から、フェンスの踏み切り板には蛍光性の高い白を、横木やハードルには蛍光の黄色を用いるデザインが最適である可能性が示された。ウマの福祉と安全性(そして、パフォーマンス)を改善するためには、ウマの認知機能やホルモン濃度、長期学習、過去の経験などのパラメータに加えて、これらの点を考慮することが重要であると考えられる。

S.C. Paul and M. Stevensl. Horse vision and obstacle visibility in horseracing(ウマの視覚と競馬における障害物の視認性). Applied Animal Behaviour Science 222 (2020) 104882. DOI: https://doi.org/10.1016/j.applanim.2019. 104882.