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症例報告:ペットラットの皮下リンパ管肉腫

6 April 2020 – News

リンパ管肉腫はリンパ管の内皮細胞に由来する高悪性度の稀な腫瘍である。獣医領域では犬、猫、馬、牛、アジアカワウソでの発症が報告されている。ラットでの報告はこれが初めてである。

ラット(Rattus norvegicus)の成体(未避妊雌)が、左腋下にできた無痛性の硬結感のある皮下腫瘤を主訴に来院した。腫瘤のほかは、身体検査および血液検査にて明らかな異常はみられなかった。

外科的療法を提示し、腫瘤を病理組織検査に供した。リンパ管肉腫の確定診断を得たため、チロシンキナーゼ阻害剤であるトセラニブを用いたメトロノミック化学療法を実施した。

3か月後、新たに腫瘤が2つ出現し、検査を実施した。この時も2つの腫瘤(1つは左胸部、もう1つは鼠径部)のほかに明らかな異常はみられなかった。病理組織検査にて、1つ目の腫瘤はリンパ管肉腫、鼠径部の腫瘤は乳腺線維腺腫であることが明らかになった。

6か月後、症例は急性の消化器症状を呈して死亡した。この間、症例の健康状態に問題はなく、消化器症状の発現は予測できなかった。いずれにせよ、剖検の同意は得られず、転移は確認されていなかったものの、その可能性やその他の無症候性の併発疾患について除外することはできない。

この種類の腫瘍では切除マージンを確保することが難しいため、再発は一般的である。本症例では、初回の手術から3か月後(ラットの平均寿命が2-3.5年であることを考慮するとこの期間は長い)に同様の新しい腫瘍が確認された。

本症例報告はラットの皮下腫瘤の鑑別診断リストにリンパ管肉腫を含める必要があることを示すものである。また、本疾患の有病率を調査し、本病態の素因になり得る要因を見つけるためにも、より詳細な報告が必要である。

Soler V. et al. Subcutaneous lymphangiosarcoma in a pet rat (Rattus norvegicus)(ペットラット(Rattus norvegicus)の皮下リンパ管肉腫). Journal of Exotic Pet Medicine (2019) 28-31. https://doi.org/10.1053/j.jepm.2019.06.003