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症例報告 – ヨーロッパで飼い猫から野兎病菌(Francisella tularensis holartica)を初分離

4 January 2021 – News

野兎病は細菌性人獣共通感染症で、ヨーロッパでは人での報告が増加している。(病原体である)野兎病菌(Francisella tularensis)には4つの亜種があり、主にヒト、ウサギ、齧歯類から分離されている。しかしながら、野生の肉食哺乳類からの分離もいくつか報告されている。
2019年3月、スイスで屋外飼育の9歳の去勢済み雄猫から野兎病菌が初めて分離された。症例は4年前に設置した皮下尿管バイパスの経過観察の一環としてベルン大学の小動物病院に来院した。著しい体重減少と併発している慢性腎臓病の他には、臨床検査と経過に問題は見られなかった。採尿して尿検査を実施したところ、重要な所見が認められた。通常の培養検査も実施したところ、4日後に野兎病菌のコンフルエントな増殖が観察された。PCR検査でもこの細菌の存在が確定された。
ドキシサイクリンを処方し、3か月後の尿培養検査では陰性の結果が得られた。しかしながら、PCR検査は陽性が持続していたこと、そして、人獣共通感染症の危険性を有することから、より長期間にわたって治療を実施した。
野生動物との疫学的関連性を調査するため、症例からの分離株および症例と同地域に生息する野ウサギからの分離株の両方について、ゲノムシーケンス解析と一塩基多型解析を実施した。系統発生的に近縁であることが明らかになり、これらの症例間に疫学的関連性があることが示唆された。
無症候性の細菌尿が予期せず認められたことは本症例の特徴的所見で、いくつかの疑問が提起される。実際、猫の尿をこの細菌について日常的に検査することはなく、過去の症例が見落とされていた可能性がある。そのため、飼い主と獣医療スタッフへの潜在的リスクを評価する必要がある。

Kittl, S. et al. (2020). First European report of Francisella tularensis subsp. holarctica isolation from a domestic cat(ヨーロッパ初報告:飼い猫から野兎病菌を分離). Veterinary Research, 51:109. https://doi.org/10.1186/s13567-020-00834-5