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食道および胃の骨異物

8 August 2022 – News

食道および胃の骨異物

骨異物は小動物獣医診療においてよく遭遇する緊急事態である。それらに対処するために臨床医が選ぶ方法はその位置だけでなく、その素材にも依存する。

骨食道異物(E-bFBs)および骨胃異物(G-bFBs)を伴う犬の医療記録を用いた回顧的研究で最近の論文が発表された。その目的はこれらの動物に対する管理と予後を述べることであった。

食道に引っかかった異物は差し迫った/緊急の介入を必要とする一方で、胃の異物に対する明確なガイドラインは存在しない。

この研究では、E-bFBsを伴う全ての動物は内視鏡による除去を受け、ほとんどの症例で成功した。内視鏡検査が上手くいかなかったときは、E-bFBは溶解のために胃へ進められるか、食道切開術によって外科的に除去されるかのどちらかであった。食道異物に伴う危険因子は、より小さな体の大きさ、より高齢であること、絞扼、数日間臨床症状を有していることであった。糜爛および/あるいは食道炎などの合併症に関して、この研究は絞扼の持続期間および部位との相関を見いだした。異物が2日以上、遠位食道内の位置で絞扼している場合、より悪い予後が予想される。

胃の異物に取り組むために、この研究は催吐剤、内視鏡検査、あるいは手術を通した除去を述べている。骨異物は鋭利である可能性があるので、催吐剤は骨の異物への一般的な取り組みではない。G-bFBsに取り組むときに考慮に入れるもう一つのことは、布、プラスチック、あるいは石のような他の物質とは対照的に、これらは消化する可能性を有するということである。この理由から、G-bFBsへの良い取り組みは、それらを消化のためにその位置でそのままにしておくことである。この研究において、著者らはすでに胃にある異物に対しても、食道から前進されその後消化するためにそのままにされた異物に対しても、この取り組みと有害事象との関連を認めなかった。胃の異物を除去することを考慮するとき、その選択は臨床症状の存在に大きく依存し、これが最も重要な決定因子である。

これは回顧的研究であり、従ってその性質上その制限を有し、これらのテーマをよりよく理解するためにより前向きな研究が実施されるべきである。しかしながら、結論として、内視鏡による除去が上手くいかない場合、溶解するためにE-bFBsを胃へ進めることはE-bFBsにおけるよい選択であるようである。溶解するためにG-bFBsを胃へ残しておくことも同様である。

 

Barash, NR, Lashnits, E, Kern, ZT, Tolbert, MK, Lunn, KF, Outcomes of esophageal and gastric bone foreign bodies in dogs, 2022, Journal of Veterinary Internal Medicine, 36:500–507. DOI: 10.1111/jvim.16383