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Case Report: 放射線誘発性骨肉腫が疑われた猫の1例

27 July 2020 – News

放射線によって誘発された腫瘍は人と犬では時折報告されているが、猫ではそのような症例は報告されていない。本報告は、飼育猫において放射線誘発性骨肉腫が疑われた初めての症例のようである。

全ては3歳の去勢済みの短毛雑種猫が、1週間にわたる進行性の尾の不全麻痺の精査のためにオンタリオ獣医大学健康科学センター(Ontario Veterinary College Health Sciences Center)に 紹介されてきたことから始まった。身体検査では明らかな異常は認められなかったが、神経学的検査にていくつかの障害が認められ、病変は腰仙接合部と第3仙椎の間の脊髄分節にあることが特定された。

MRI検査にて脊柱管内に腫瘤が確認された。脊髄病変の細針吸引を実施したところ、細胞診検査にて紡錘細胞腫瘍の存在が確定された。そのため、緩和的放射線療法を開始し、プレドニゾロンを漸減しながら経口投与した。第3週目までに尾の機能は完全に回復した。

この治療から3年後に猫が再度来院し、身体検査にて硬い骨盤内腫瘤が確認された。追加検査を実施し、CT検査画像にて、腫瘤は以前の腫瘍の再発や転移ではないことが確認された。細胞増殖の軽減と続発性の便秘の緩和を目的に、左側の完全半骨盤切除術が選択された。術後経過は特記なく、2日後には正常な排便と排尿が認められた。病理組織検査所見は骨肉腫(OSA)に合致した。ヒトの放射線誘発性OSAの診断基準5項目のうち4項目を満たしていたことから、腫瘍は放射線治療の結果発生したものであることが疑われた:

  • 放射線照射領域内から発生;
  • 放射線療法実施時に病変が存在しなかった骨に発生;
  • 当初の腫瘤とは異なる所見をもつOSAの病理組織学的診断;
  • 発症部位における腫瘍の発生頻度が低い。

この仮説を確定するためには病理組織検査が必要であるが、生検(医原性神経損傷のリスクが高い)も剖検(術後127日目に安楽死を実施)も行われなかった。

とは言え、本研究は猫に放射線治療を実施する際に、このような種類の腫瘍を稀に発症する可能性を考慮することの重要性を示しており、また、腫瘍の完全切除が困難である場合には緩和療法として半骨盤切除術が有効かつ許容可能な方法であることが示された。猫のOSA症例について理解を深めるためには、追加のデータも必要である。

Swieton, N. et al. Suspected Radiation-Induced Osteosarcoma in a Domestic Shorthair Cat(放射線誘発性骨肉腫が疑われた短毛雑種猫の1例). Journal of Veterinary Diagnostic Investigation 2019, Vol. 31(1) 103–106. https://doi.org/10.1177/104063871881212